相合傘2




「ねえなぎさ…?もっとコッチにおいでよ。濡れちゃうよ?」

小雨パラつくねずみ色の雲の下、遠慮がちに隣を歩くなぎさに、軽く手招きしながらほのかが声を掛ける。

「え?でもほのかが…」
「んもぅ、私は大丈夫だから。ホラ!」
クイとなぎさを引き寄せるほのか。二人の肩が「トン」と軽くぶつかり合う。
「ね、大丈夫でしょ?」
ニコッと微笑むほのかの言葉通り、少し大きめの傘は二人を覆っても尚少し余裕がある。

互いの温もりを肩と、そして半袖から覗く肌で感じながら
「それでね、志穂ったら……」
「ウフフ、それでなぎさは……」
と、他愛ないお喋りをして、歩調を合わせユックリと駅の方へと歩いて行く二人。
ココロ踊るような、そして何所かドキドキとする二人だけの空間。
跳ね上げる水飛沫さえも楽しげなその姿に、道行く人々も思わず笑顔で振り返る。

しかしどんなに素敵で楽しい時間にも、終わりは必ずやって来るモノ。
やがて駅が目前に迫って来た時、なぎさが少しつまらなそうに呟いた。

「…駅、もうすぐだね?」
「そうね…」
「…雨、止みそうだね?」
「そうね…」

切ない気持ちを抑えて返事をするほのか。
いつまでも並んで居たかったのに、実際はこうして傘を畳まなきゃいけなくて…

「ハァ…」
思わず出るため息。しかし、改札へと向かうなぎさの背中を見た瞬間
「あのなぎさ!…これから私の家に来ない?」

「今日はおばあちゃまが、また牡丹餅作ってくれるって言ってたから…だから…」
「モチロン喜んで!さ、早く行こう!?」



* * *



―――ガタンガタン……

「牡丹餅楽しみ〜!早く早く!」
「もぅ!そんなに慌てたら転んじゃよ!?」

駅を発着する電車の音を背に、二人が階段を下りてくる。
待ちきれないといった感じで階段を駆け下りヒョイと着地するなぎさ。
そして、まだ途中のほのかよりも一足先に改札を通り抜ける。だが―――

「あれ?また降ってる…」
空を見上げるなぎさの言葉通り、先程よりもチョビット強い雨が再び降っていた。


「ねえ、また振ってるよ!?」
「ウフフッ!じゃあまた傘の出番ね!?」
降りしきる雨を見てドコか嬉しそうに傘を広げるほのか。
「うん!」
と、なぎさも軽やかにほのかへと身を寄せて行く。

「雨、止むと思ったんだけどね?」
「そうね。でも……」
「でも?何?」
「ううん!何でもナイ!」
「ほのか変なの!…だけど、多分あたしも同じコト考えてた!」
「なぎさも?それってどんな事?」
「うーんとね……秘密!」
「もぅ何ソレ!?ウフフッ!」
「アハハッ!」

笑い声を上げる二人。そして相合傘で雨の中へと消えて行く。

今度は濡れないように最初からシッカリと腕組みしながら―――








TOPへ