雨降って・・・






ほのかとケンカした…
いやまぁケンカって言うか、その、ちょっとした意見の交換みたいなモンだけど

……ウソ、やっぱりケンカ

ハァァ、何であんな事言っちゃったんだろ?
ほのかはちっとも悪くない。悪いのはあたし、あたしなの!
だけど、「ゴメンね」って言いたいのに、変な意地張っちゃって言えなくて、それで余計に気まずくなって…
結局お昼から全然口きいてないし、それどころかほのかの顔も見れてない……サイアク
何やってんだろあたしってば?自分がイヤになるよ…

…そうだ、家に帰ったらほのかに電話しよう。それでちゃんと言うんだ、「ゴメンね」って。
だってこんな気分で今日を過ごすなんてイヤだから。それに、明日は朝から一緒に笑いたいもん。
だから―――


「…あ」
アレコレと思いながら下駄箱から外へと出ようとしたなぎさ。
しかし、目の前の光景を茫然と眺めながら、ポツリと呟く。
「雨…。傘持ってないよ、どうしよう…」


・ ・ ・


なぎさとケンカしちゃった…
あ、でもケンカって言うか、ちょっとした意見の相違を議論しただけなのよ!?

…ううん、違うよね。やっぱりケンカよね

ハァ…なんでこうなっちゃったのかしら?
でも、なぎさのせいじゃ無いの。悪いのは私、私が悪いの!
だけど、「ゴメンなさい」って言いたいのに、何故か素直になれなくて…
結局あれから一言も話してないし、それどころかつい避けちゃったりして……ダメよね
フゥ、私ってば何やってるんだろ?何だかスゴイ自己嫌悪…

…そうだ、家に戻ったらなぎさに電話しよう。それでちゃんと言うの、「ゴメンなさい」って。
だってこんな気持ちでずっと居るなんて嫌だもん。それに何より、明日も一緒に居たいから。
だから―――


「…あれ?」
色々と考え事をしながら下駄箱までやってきたほのか。
だが、玄関口の人影に気付くと、その足を止めてポツリと呟く。
「あれってまさか…」



* * *



「雨降ってるんだ…」
「…!?」
背中越しに聞こえて来た声に、なぎさがギクリとしながら振り返る。
そして「ほのか…」と、ドコか困ったような顔をするなぎさの横に、いつもよりも間を空けてほのかが遠慮がちに近寄って来る。

「なぎさ、傘持ってないの?」
「う、うん」
「私も持ってないんだ…」
「へぇ、そうなんだ…」
「うん……」
「……」
ギクシャクとした会話、そしてその後に訪れる沈黙…。雨音と共に気まずい時間が過ぎて行く。


―――なぎさ、何やってんの!?今謝らなくちゃいつ謝るの!?ホラ、早くほのかに「ゴメンね」って言うの!

そんな空気の中自らを叱咤するなぎさだが、いざ声を出そうとすると、口がパクパクと動くだけで言葉が一つも出てこない。
そして、そうこうしてる内にとうとう雨は止み、結局何も言えないまま
「あの…じゃあね…」
と、なぎさが俯きながら一歩前へと足を踏み出す。がその時―――「あれ?」

「見て、虹!」
「え、虹?ドコに?」
「ホラ、あそこ!」
と、興奮気味のほのかの言葉の先には、見事なアーチを描く七色の橋。
「あ、ホントだ!綺麗…」

そして暫しそれを見つめる二人だが、やがて何かを思いついたのか、なぎさがクスクスと笑いながらほのかへと振り向く。
「ねぇ!もしかしたら、あの虹から光の園へ行けるかもね!?」
「光の園に…?フフッ、まさか!」
「でも、ひょっとしたらひょっとするかもよ!?」
「じゃあ側に行ってみる?」
「え!?いやぁ…本当に行っちゃっても困るしさ、それはイイよ…」
「もぅなぎさったら何ソレ!?ウフフ!」
「フフ…アハハ!」
他愛の無いやり取りに、二人が声を出して笑いあう。そしてその笑いが収まると―――
「ねえほのか…、昼間はゴメンね?」
「うん…私もゴメンなさい」
素直な気持ちで互いにペコリ。


「さ、帰ろう!?」
「うん!」
日差しが戻ってきた空の下、二人が手を取り合って良く歩き出す。

空に残る虹に負けない位鮮やかな虹を、互いの心に架けながら―――













―おまけ―


ちなみにケンカの原因は……

「でもほのか、お弁当余分に作ってくれるのはホント嬉しいんだけど、やっぱタマネギ入れるのだけは止めない?」
「だめよ、栄養のバランスをちゃんと考えて入れてるんだから!」

愛妻弁当?の中身でした。『○○ケンカは犬も食わない』とはよく言ったモノで…








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