あなたが寝てる間に・・・




―――ドサッ!

「はぁ〜疲れた…!」
「でも楽しかったね!?」

手にした買い物袋を床に置き、座布団へと座りながら二人がニコッと笑顔を交し合う。

「うん、ホント楽しかった!欲しかった服も買えたしね!」
「あら?買い物の方?てっきりお昼の方かと思ってた…」
「ちょっとほのか!?そんな事…!」
「ゴメンゴメン!でも、デザート食べてる時の顔の方が嬉しそうだったよ?」
悪戯な笑みを浮かべるほのか。
そんなほのかになぎさがプクッと頬を膨らませる。

「もぅまた!」
「冗談よ!…ってなぎさ、ひょっとして怒ってる?」
「うん、怒ってる!」
プイ!―――とそっぽを向くなぎさ。しかしほのかをチラリと横目で見ると
「でもね、あたしのお願い聞いてくれたら許してあげてもいいカナ…」

「え…お願いって?」
「ん、それはね…」


・ ・ ・


「うーん、ほのかの膝枕ってば気持ち良い!一度やってみたかったんだよね!」

シッカリと膝に頭を乗せて、なぎさが嬉しそうに声を上げる。

「もぅ、お願いって何の事かと思ったら…」
そんななぎさに思わず苦笑いを浮かべるほのか。
しかし
「それで…オホン…」
とわざとらしく咳払いすると
「お怒りは収まりましたか、お姫様?」

「ダーメ、まだ許してあげない!もう少しこのままでいるの、分かった!?」
「ハイハイ、かしこまりました……フフ」
「…プッ」
「ウフフッ!」
「アハハハッ!」

他愛のないやり取りに、もうこらえ切れないとばかりに笑い合う二人。
そしてそれがひと段落つくと、「はぁ」とほのかがなぎさの隣に寝転がる。

「気持ち良い風ね…」
「うん。ホントだね…」
頬を撫でるそよ風に二人が静かに目を閉じる。と、やがて―――「スー…スー…」


「…なぎさ?」
「ムニャムニャ…ほのか、もう食べられないならそれちょーだい…」
「ウフフ、なにそれ…」
そんな無邪気な寝言にクスリと笑って、ほのかがなぎさの寝顔をじっと見つめる。

―――なぎさ…
あどけないその寝顔に、ほのかの中で一つの気持ちがどんどんと膨らんで行く。
そしてとうとう

―――ゴメンね…。寝てる間にだなんて私ズルイよね?でも、もうムリみたい…

「おやすみなさい…」

チュッ…



* * *



「今日はありがとうね?買い物に付き合ってもらった上に、昼寝までさせてもらっちゃって…」
靴を履きながら、なぎさが少し申し訳なさそうに声をかける。

「気にしないで。私だって楽しかったんだから」
「ホントに!?良かった…!」
そのほのかの言葉に、なぎさがホッと胸を撫で下ろす。

「さてと…じゃあまた明日ね?」
「うん、また明日…」
どこか切ない視線で別れの挨拶を交わす二人。そしてほのかに背を向けて、なぎさが扉に手をかける。
だが、その手がそれを僅かに開きかけた時
「でも、忘れモノしちゃったかも…」
と呟きながら、ユックリとほのかへと振り返った。

「忘れ物って何?私が取ってこようか?」
「うん…じゃあほのか、ちょっとこっちに来てくれる?」
「え…?いいけど忘れ物は…?」
「いいからいいから」
そう手招きするなぎさに不思議に思いながらもほのかが顔を近づける。

「なぎさ、一体ナニ?」
「んー、それはね―――」


―――ちゅっ!


「えっ!?」
「フフッ、これが忘れモノ。さっきのお返しだよ!じゃあね!」
そしてガラガラとドアを開け、ダッシュで遠ざかって行くなぎさ。
「…あ」
そんな後ろ姿を茫然と見送りながら、ほのかヘナヘナと腰砕けに座り込む。

「ほのかほのか、しっかりするミポ!?」
「ミップル、今の…。まさか気付いてて…!?」

真っ赤になる顔。そしてその頭から湯気が……ボッ!

「ウソーーーッ!?」
「あー!?ほのかが壊れたミポォー!!」



そんなこんなでその夜、ほのかは色々な意味で眠れぬ夜を過ごしましたとさ








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