ありがとう&あいしてる
「…という訳で、皆様にはこの学舎で学んだ事を―――」
壇上では校長先生がにこやかに、だけどドコか寂しげに、アリガタイお言葉を口にしている。
そして、それを見つめる生徒達の表情も十人十色で人それぞれ。
ある者は誇らしげで、ある者は笑顔で、ある者は泣き顔で―――
そう、今日はベローネ学院中学の卒業式。
長いようで短かった3年間もとうとう本日でオシマイ。
慣れ親しんだ校舎、制服、そしてこの空気とも別れを告げる日がやって来たのである。
―――三年間、本当に色々な事があったよね…
そんな雰囲気の中、なぎさがふと今までの学園生活を思い出す。
―――友達も一杯出来たし
―――ラクロス部に入って、レギュラーになれて、優勝もして、そしてキャプテンにまでなっちゃったし
―――みんなと頑張った合唱コンクールや学園際も、凄く良い思い出
―――そうそう、修学旅行も楽しかったよね!
―――でも、やっぱり一番最高なのは
そして、隣にチラリと顔を向ける。
―――ほのかと知り合えたコト!
ニコッと笑顔を送るなぎさ。その視線に気付いたほのかも、同じく微笑みをなぎさに返す。
他の皆とは違う、濃密な二年間で築いてきた二人だけの特別な絆。
だからその笑顔を見ただけで、互いにちゃんと理解できる。
―――なぎさも同じ事思ってたのね。一番は出会えた事だって…
「―――それでは最後に校歌斉唱」
* * *
「終わっちゃったね…」
「そうね…」
式が終わった後、何だかんだで結局遅くまで残っていた二人。
人気の少なくなった校舎を名残惜しそうに見渡しながら、並んでユックリと歩いている。
「こうやって並んで帰るのも、中学では最後なんだよね…」
「何だか少し寂しいわね…」
「…高校でも同じクラスかな!?」
「大丈夫、きっと一緒よ!」
「うん、そうだね!きっと一緒だね!」
未来の不安を励まし合って、笑顔でウンと頷きを交わす。
そしてやがて学校を出て、例の川原に差し掛かった頃
「ところで、ねぇほのか?」
なぎさが少しモジモジしながらほのかに話しかけてきた。
「ん、何?」
「ほのかにね、今までの気持ちを込めたプレゼントがあるんだ…」
そのなぎさの言葉に、ほのかが嬉しそうに瞳を輝かせる。
「なぎさから?ナーニ!?」
「フフッ、ちょっと目を閉じてくれる?イチニのサンの後で目を開けてね!」
「え…こう?」
戸惑いながらも目を閉じたほのかを見て、なぎさがフッと一つ息を吐き出す。
「いい?じゃあ行くよ!?イチ、ニの―――」
―――チュッ
「なぎさ!?今のって…!?」
プレゼントの柔らかで甘い感触に顔を赤くするほのか。
そんなほのかに、なぎさが悪戯っぽく満面な笑顔で
「ほのか!ありがとう&あいしてる!!」
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