不思議の国の…
「大変だ!遅刻しちゃう!」
昼下がり、ほのかの目の前をスティックを片手に赤いユニフォームを着たなぎさが走り去っていく。
「ちょっと待って、どこ行くの!?」
だけどなぎさはほのかの声なんか聞こえないかのように先を急ぐ。
そして空き地から立ち上る光の道に吸い込まれていっちゃった。
「光の道?私もいってみよう」
面白半分になぎさを追いかけて光に飛び込むほのか。
たどり着いた場所は奇妙な姿をした生き物達が住む不思議な世界。
互いの名前を呼び合いながらラブラブぶりを見せ付ける黄色とピンクのぬいぐるみ(?)。
スグ名前を忘れる老人。
番人のくせにちっとも番をしてない番人、etc…。
「ここってドコなの?…でも面白い!」
爆発する好奇心。
するとホラ、そこにネギが食べ物を持ってきて…
「え?私に?食べていいのかしら…悪い人には見えないし、頂こうかしら」
パクリ、モグモグ、ゴックン…
「あれ?体が縮んでく気が…。どうなってるホノ!?」
差し出された食べ物を一口食べたらさあ大変!ホノップルになっちゃった!
「一体どういう原理ホノ?ちっとも分からないホノ」
悩むホノップル。
そこに今度はキノコがお菓子を持ってきた。
またまたパクリ。すると体が元に戻っていく。
「不思議ね!面白い!…ってなぎさは!?」
ここでようやく本題を思い出したほのか。
慌てて周りを見渡すと、遠くの方に見慣れた背中が。
「待ってなぎさ!」
野を越え丘を越え、とうとう大きな宮殿にやってきた。
入口に消えるなぎさを追ってほのかも中に入ってく。
すると目の前には大きな宮殿に不釣合いな小さな金髪の女の子。
そして横にはなぎさの姿。
「あなたは?」
「私はひかり。この国のクイーン」
「王女様!?そんな人となぎさが何で…」
「ほのかさん。なぎささんは私が頂きました。諦めてください」
「え!?どういう事?」
「ゴメンね、ほのか。そういうワケだから」
「そういう訳って、ちょっとなぎさ!!」
「まあ縁が無かったと思って諦めるんだね」
「アカネさんまで!」
「と言う事なんで、ほのかさんには帰ってもらいます。ポルン!ルルン!」
「さあ一緒にくるポポ!」
「大丈夫。戻ったら全部忘れてるルル」
「イヤ放して…!なぎさ!なぎさ!!」
「なぎさ〜…なぎさ〜…」
「ほのか、どうしたんだい?」
「うん…お婆ちゃま!?ココって私の部屋?」
「何言ってるんですか、寝ぼけちゃって」
「私、宿題の途中で寝ちゃってたんだ…」
「フフ、なぎささんの名前をうわ言のように言うなんて、よっぽど怖い夢でも見たんですね」
「え!?私なぎさの名前言ってたの?」
「それはもちろん。でも、寝言でも名前を口にするなんて本当に仲が良いのね」
「もうお婆ちゃま!!」
「あらまあ赤くなっちゃって、フフ。…さて、これ以上お勉強の邪魔しちゃ悪いから、そろそろ行きますね」
部屋を去る祖母の背中を赤い顔で見つめるほのか。
やがてその姿が見えなくなると、クスッと一つ笑みをこぼし宿題の本に手を伸ばす。
「フフ、変な夢だった…これのせいかしら?」
そのタイトル、それは勿論『Alice's Adventures in Wonderland』。
「でも、ちょっと面白かったかな?」
そう笑顔で呟き静かに本を机の上へと戻す。
とその時
「ほのかー!来たよ!!」
と、おなじみの元気な声。
「なぎさ!待ってて、今行くから!」
ウキウキした足取りで玄関へ向かうほのか。
どうやら今日はこれから二人でお買い物らしい。
アレ?この続きも気になるけれど、どうやら時間が来たみたい。
と言うわけで、ほのかアリスの不思議なお話はこれにて終了。