勘違い





明日は課題の提出日。
なので今日は朝からほのかの家で最後の追い込み。

カリカリカリ
カリカリカリ…

机に向かう二人から聞こえてくる鉛筆を走らせる音。

カリカリカリ
カリカリカリ…

カリカリカリ
ひゅーひゅるる…

「…?」
急に混じってきた聞きなれない音にほのかが顔を上げる。
すると、そこにはスヤスヤと気持ち良さそうななぎさの姿。
「もう、しょうがないんだから…」
そんななぎさの寝顔に苦笑いを向けて、ほのかが再びノートに向かおうとした時―――

「ほのかぁ…」

自分の名前を呼ぶなぎさの寝言。
思わずウキウキして、私の名前を呼ぶなんてステキな夢だといいな…なんて考えていると再びなぎさがつぶやいた。

「大好き…」

カラン……
ほのかの手から鉛筆がこぼれ落ちる。

―――なぎさ?今なんて…?

ドキドキと高鳴る胸の鼓動を抑え心の中で問いかける。
するとその声が聞こえたのか、なぎさがもう一度
「んん…大好き…」

ドキドキドキドキ…もう大変。勉強どころじゃなくなった。
健やかな四肢も、亜麻色の髪も、僅かに開いたピンクの唇も、見慣れているハズのなぎさの全てが愛おしくなる。
そして抑えていた想いが溢れてきて…

―――なぎさ、もうダメ…ゴメンね?


・ ・ ・


「…うん?あたし寝ちゃったんだ。ふぁ〜あ…」
目を覚まし、なぎさが大きく伸びをする。
そして横で何故か赤ら顔のほのかに話しかける。
「あたし、不思議な夢見たんだ…ほのかも出てきたんだよ」
「そ、そう…どんなのだったの?」
「うん、ほのかと並んで歩いてたらさ…」
―――だから私の名前を言ったのね
「ほのかが急にチョコレートになっちゃって」
―――ん?
「それがスッゴイ大きなチョコレートで、やった!だーいスキ!って飛びつこうとしたら」
―――んん!?
「逆にあたしの口めがけて飛んできたんだよ!ね、不思議な夢でしょ!?」
―――………
「それにしても、まだチョコが口に当たった感触が残ってる気がするよ……ってどうしたの、ほのか?黙っちゃって」

ああ勘違い。
さっきの行動が急に恥ずかしくなって来る。
そんなほのかのココロの内などモチロン知るハズもないなぎさ。唇にそっと指を当てて呟いた。
「でも、さっきの夢もう一回見たいな。だってその感触が、柔らかくてスゴイ気持ち良かったんだモン」

―――ドクンドクン…
その言葉に、熱い想いが再び湧き上がる。

「ねぇなぎさ…私がもう一度その感触を体験させてあげようか?」
「ホント!?やってやって!」
「フフッ、それじゃあ目を閉じてみて…」
「こう?」
「うん。じゃあ行くよ―――」



―――おしまい









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