紅葉狩り





トンネルを抜けると、窓の外には紅い絨毯が広がっていた。

「うわー綺麗!」
「モミジにカエデ、それにあっちにはイチョウ…どれも本当に綺麗に色付いてるわね!」
「なんだか圧倒されますね」
その鮮やかな光景に、乙女達が歓声をあげる。
紅葉と言えばタコ焼きだ!とのアカネさんの号令で半ば強引に連れてこられたワケだが、
なぎさもほのかも今は大満足である。
そんなこんなをしている内にバンは目的地に無事到着。
ピョンと地面に飛び降りると、なぎさがウーンと一つ伸びをする。
そして、ねえねえアッチの方に行ってみようよ!?と心を躍らせてほのかとお喋りしていると―――
「ホラホラあんた達、おしゃべりは後で!お客さんもイッパイ居るしさっさと準備するよ!?」
現実は厳しかった…

・ ・ ・

「いやーありがとうね。アタシとひかりは後でいいから、あんた達は先に休憩してきな」
客足もひと段落した後でようやくアカネがお許しを出す。
その言葉になぎさとほのかが辺りの散策へと向かう。
落ち葉のシャワーの中を、二人仲良くアッチヘ行ったりコッチへ行ったり…。
やがて少し疲労を感じたのか
「ちょっとアソコで一休みしようか」
と、木陰に腰を下ろす。その時

―――ポツ…

ん、雨?と思ったのも束の間、アッと言う間に本降りへ。
「しょうがない、もうちょっとココに居よう?」
なぎさの提案にほのかもウンと肯いた。

・ ・ ・

―――ザ―…

降り止まない雨をぼんやりと眺めながら、ハアとなぎさがため息をつく。
「寒いね…」
「うん…」
「…ねえ、ほのか?もうちょっとコッチにおいでよ?」
「え?」
「ホラ、くっつけば暖かいでしょ?だから…」
寄り添うような体勢になった二人。
確かに暖かいけれど、何だか胸がドキドキと高鳴ってくる。
ソレを紛らわす為に何か喋ろうと思っても、言葉が上手く出てこない。
そんな時、ふとした拍子に手が触れ合った。
「…!」
慌てて手を引っ込め、思わず顔を見合わせる。

しっとりと濡れる髪。
ほんのりと赤みを帯びた頬。
そして憂いを帯びた瞳…

そんな互いの姿を見た途端、瞬く間に二人の心が紅く染まって行く。
「…もっと暖め合おうよ、二人で…」
「うん…」
それからは、もう言葉は要らない。
瞳を重ね、手を重ね、唇を重ね、そして……
まるでそうしない事が罪であるかのように、二人がお互いを求め合う。
そんな二人の世界の外では、冷たい雨がまだ降り続いていた

・ ・ ・

「なぎさ!ほのか!」
その声に、二人がうん?と目を開ける。
「…あれ?アカネさん?」
「あれ?じゃないよ。あんまり遅いから心配したよ!」
「私達、疲れて寝ちゃったのかしら…?」
どこかホッとしたようなアカネの言葉にほのかが周囲を見回すと、雨はいつの間にか上がっている。
「朝早かったから疲れたのかもしれないけど、風邪でも引いたらどうすんのよ!?マッタク…。
ホラ、日も落ちてきたし車に戻るよ?ひかりも待ってるから」
フウと息を吐き出しアカネが歩き出す。
そんなアカネの後姿に、不思議な思いで立ち上がるなぎさ。
さっきのコトって夢だったのかな?なんて思ってほのかを見ると、その首筋に小さな紅葉が…
「ほのかソレって…」
「なぎさ、その紅いモノって…」
お互いの愛の証に思わず目を丸くする二人。だけどスグにアハハと笑い出す。
そしてギュッと手を繋ぐ。
「行こうか!?」
「うん!」


「それにしても綺麗な紅葉だね。またこうようね!…なんちって」
「……」









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