願ったり叶ったり





「ほのかちゃん、付き合って!?」
「好きです、雪城さん!」
「一緒に両国に行きたいでごわす」
「ほのかさん―――」
「雪城ちゃん―――」
「―――!!」


と言う訳で、高校生になってもほのかはやっぱりモテモテ。
いや、むしろ中学時代よりもモテモテで、それはやっぱり『女子高生』になったから…かも。
けれどこんなにモテモテなのに、返事はいつも決まって「ゴメンなさい」なのだ。
でも、それにも関わらず

―――ドサリ

下駄箱を開けると、相変わらずラブレターが落ちてきて、思わずハァとため息が出る。
「もう困ったなぁ。一体どうすればいいのかしら…」
気持ちは嬉しいんだけど、今は男の子と付き合おうとは思わ無いのよね…
と、そんな事を思いながらラブレターを拾って、もう一度「フゥ…」と息を吐く。
だけどその時
―――ん?付き合う?…そうだ!
「ウン、付き合えば良いのよ!それにそうすれば……ウフフッ!」

名案が、ピコン!と閃いた。



* * *



「あたしとほのかがデート!?」
「うん!」

と言う訳で、これが名案です。

「私が誰かとデートしてるって事になったら、きっと告白も減ると思うのよね。だから、ね?お願いなぎさ!」
「そういう事ならいいケド…でも」
納得したけれども、まだ少し不満そうにほのかを見る。
「だからって、何であたしが男の子に変装しなきゃいけないの?」
「だって、女の子同士でデートしたって意味無いでしょ?それともなぎさは、私が本当に男の子とした方が良いと思うの?」
「う…よくない」
「でしょ!」
ニッコリとほのかが微笑む。
「じゃあ、ちょっと練習しましょうか?」
そして、なぎさの傍にトンと軽やかに近寄ると
「まずは並んで歩く練習!」
と、腕を絡ませた。

「どう?」
「何か、ちょっと照れくさいね…」
「ウフフ。でも、こうした方がもっと恋人同士に見えるかしら?」
クスリと笑って、なぎさの肩にチョンと頭を乗せる。
長い髪がフワリと風に揺れ、爽やかな香りが、ドキッと心を高鳴らせる。

―――ああ、やっぱりほのかってカワイイなぁ
髪はサラサラでイイ匂いだし、体もいかにもオンナノコって感じで柔らかいし、それにムネだって意外と…
……って、あたしってば何考えてんのよ!?

「どしたの?」
「―――!?何でもナイ!!」
何でもない何でもない。まったくもって何でもないのだ。
「そう…じゃあ次は、私を抱きしめて?」
「な、抱きしめる!?」
だけど何でもないはずなのに、妙に声がうわずっているのは何故だろう?
「そうよ。恋人だもん当然でしょ?だからホラ、あそこに男子部の子がいると思って、早く私を抱きしめて!」
「う、うん…」
妙な説得力にゴクリと唾を飲み込んで、それから深呼吸して―――ムギュウッ!
「…んっ!なぎさ、もうちょっと優しくして…」
「ゴ、ゴメン!…こう?」
少し力を緩めて、ギュッ
「…うん」
そして、そんななぎさの胸の中で、ほのかがウットリと瞳を閉じる。

―――あぁん、もう幸せ!次はなに練習しようかしら!?


なんか、目的ずれてません?



* * *



で、数日後
結果はどうなったかと言うと―――


「雪城さんと美墨さんて付き合ってるらしいよ!?」
「えーマジで!?」
「俺、二人が抱き合ってるとこ見ちゃったもん」
なんてコトになっちゃいまして

「うーん。変装がバレちゃってたのね。まあ告白も減ったし、結果オーライね!」
と、パチンと手を合わせて、なぎさの腕にキュッと抱きつく。
「それじゃあ、こうなっちゃったら二人でデートに行きましょうか!?」
「あ、ありえない…!」


―――なーんてね。ちゃんとそれも予想通りなんだから、フフ♪







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