from N to N
―――ラクロス続けていればまた会えるよ!
その言葉にアハハと笑い合って別れたんだよね。
負けてしまったけど、あの試合は最高に楽しかった。
応援の声も、緊張感も、汗の匂いだって今でもはっきりと覚えている。
そして美墨さん、あなたのその笑顔も……
アノ言葉の後のあなたの笑顔。
それを思い出すたびに、まるで最高のプレーを決めた時のようなドキドキが全身を駆け巡る。
―――どうしてこんな気持ちになるんだろう?
その訳を知りたくて、もう一度あなたのその笑顔に触れようと、私はあの日以来幾度と無く
あなたに声をかけるチャンスを待っていた。
校門で、帰り道で、そしてあのたこ焼き屋で…
だけどあなたの側にはいつも、髪の長い綺麗な女の子―――雪城ほのかと言ったっけ―――が居た。
そして、あなたが彼女に見せるとびっきりの笑顔。
幸せそうな二人を邪魔することなんて私にはムリな話で、結局遠くから眺めることしか出来なかった。
そんなある日、突然私は気付いたんだ。
この気持ちって、恋―――
「キャプテン!」
突然耳に飛び込んできた後輩の声。その声にハッと現実に引き戻される。
「キャプテン、どうしたんですか?ボーッとしちゃって…」
「え!?…ううん、なんでもないよ。それより『キャプテン』は止めてよ、もう引退したんだから…」
「あ!すいません!」
恐縮しきりな様子が、何だかひどく可愛らしい。
だからワザとちょっと意地悪く言ってみる。
「そんなことで打倒ベローネが果たせると思ってるの?マッタク頼りないな〜。
卒業するまでは、私がタップリとフォーメーション練習の面倒を見てあげるから、覚悟しなさいよ!?」
「ハ、ハイ!キャプ…永沢先輩!!」
「ヨシ!じゃあ戻って続き!」
私の言葉に慌てて走る彼女の姿が、夕陽で紅く染まったグラウンドに溶けて行く。
そして、いつかの私みたいに精一杯練習に励む彼女達の姿を眩しく眺めながら、私は再びあなたの笑顔を思い浮かべる。
この気持ち、それは恋に似た憧れ。
あなたの様に周囲を照らし、変えていけるような存在になりたいという、ココロの底にある願望の反映。
―――ラクロス続けていればまた会えるよ!
そうだね。私だってラクロスが大好きだから、きっとまた会える。
きっと会えるからこそ、それまでに私は私のやり方で自分を磨いて行こう。
だからね、美墨さん?今度会ったその時は…
「ホラそこ、フォローが遅い!もっとシッカリ頑張れ!」
―――その時は…フフッ、絶対に負けないからね!!