サンタクロース
ジングルベール、ジングルベール♪
もうすぐ待ちに待ったクリスマス!
街はもうウキウキで、幸せイッパイ夢イッパイ。
もちろんタコカフェだって特別仕様でお客さまをお出迎え!……のハズなんだけど
「あのアカネさん…」
サンタの衣装に身を包みせっせと接客にいそしんでいたひかりちゃん。
ようやく一段落ついた時、ちょっと思い悩んだ顔でアカネサンタに近寄っていく。
「アカネさんのお家には煙突はありませんよね?」
「うん、無いケド…それがどうしたの?」
「あの…じゃあサンタさんはやって来ないんですか!?」
…ハイ?今なんて?―――突拍子もない質問にアカネさんが目をパチクリ。
「だから、お家には煙突がないから、サンタさんが来れないんじゃないかって思うんです!」
「そ、そうかもね…。でもあんた、ソレ本気で言ってるワケじゃ…」
言いかけて、すぐにハッと息を呑む。
ジッと自分を見つめるひかりの真剣な眼差し。
そんな瞳にアカネの親心がメラメラと燃え上がる。
「煙突なんか無くたって大丈夫だよ。来る、絶対に来るって!」
「本当…ですか!?」
「本当だって!あたしが保障するよ!だからそれまでは、ね?」
「ハイ!」
パッと笑顔になるひかりを見て、心の中でアカネが誓う。
―――ヨーシ、可愛いひかりの為だもん。イブの夜はちょっと頑張っちゃおうかな!?
* * *
チラチラチラ…
外では小雪がちらついている。
そんな神秘的なイブの夜
―――カチャリ…
ドアが静かに開き、ひかりの部屋に一つの影が音も立てずに入ってきた。
そしてベッドに近寄ると、そっと枕元に手を伸ばす。
と、その時―――
「誰!?」
寝ていたハズのひかりが上半身をムクッ!
「あなたマサカ…」
ゴクリ―――重苦しい空気がその場を支配する。そして…
「サンタさんですね!?」
ヘコッ…思わずズッコケる影。
「そ、そうだよ…サンタだよ!ル…ひかりちゃんは良い子にしてたかな?」
「ハイ、モチロン!」
無邪気に喜んで、ひかりが電気を点けようと立ち上がる。
「ちょちょちょっ!ダメダメダメ電気はダメだって!電気なんか点けたら…!」
「そうですか?…そうですよね。ナイショですよね」
ホッ―――素直なひかりに胸を撫で下ろし、手にしていた包みをサンタがスッと差し出す。
「これ…私にですか?」
暗くてハッキリとは分からないけれど、その言葉に確かにサンタが頷いた。
アリガトウございます!―――精一杯の気持ちでお辞儀をしながらプレゼントを受け取るひかり。
「あれ…?」
だけど顔を上げた時、そこにはもう人の気配はなかった。
「もう居ない…。フフッ、照れ屋のサンタさん!」
クスッと笑ってひかりが再びベッドに戻る。
聖なる夜の不思議な出来事。
今夜も素敵な夢が見れるといいね。
* * *
「ヤバ!寝ちゃったよ!」
手にしたままのプレゼントを茫然と眺めながら、アカネがガックリと肩を落とす。
サンタが来るの楽しみにしてたのに、どうすんのよ?……言い訳がグルグル頭を駆け巡る。
だけどヤッパリ素直に謝るか―――そう腹をくくったその時
「お早うございマス、アカネさん!」
いつも以上に明るいひかりの声。
「あ、ああ…お早うひかり。……って何?その手に持ってるの」
「フフッ、プレゼントです!昨日の夜ちゃーんと来たんですよ、サンタさんが!」
―――え?どういうこと?あたし何にもしてないよ。
怪訝な顔でひかりを見るアカネ。
だけど幸せそうな様子にスグに思いを改める。
……でもひかりが嬉しそうだから、まぁいいか。
それに今日くらいはこんな奇跡があったって不思議じゃないってか!?
「さ!今日はクリスマスだから、お店終わったらパーティーやるよ!」
「ハイ!」
一方その頃―――
「サーキュラス!あんた夜どこ行ってたのよ!?」
あれ?まさか…