勝負




はだけた胸元、そして乱れた裾が、コトの激しさを雄弁に物語っている。
その乱れを慣れた手つきで直しながら、ほのかが少し哀しげに横を見る。

(なぎさがイケナイんだからね…。着付けの最中にあんなコト言うから…)

視線の先には、同じように乱れた衣服で荒い息のなぎさの姿。

最初は単なるお遊びだったのに、段々とお互いに本気になってしまった。
イケナイと分かっていても、どうすることも出来なかった。
本能は理性を超え、剥き出しの感情が二人を突き動かした。


「ほのか…」
「なぎさ、ゴメンね…」

少し瞳を潤ませながら見つめてくるなぎさに、ほのかのココロがチクッと痛む。
でも、不思議と後悔は感じない。

―――だって…

―――だって私は……


―――私はカルタの女王雪城ほのか!
    だから例えなぎさ相手でも、カルタ勝負に負けるワケにはいかなかったんだモン!



「ほのか…もう一勝負…ね?」

もう一回…?マッタク、あれだけコテンパンだったのに、なぎさってば懲りないんだから!

フフッ…でもイイよ!返り討ちにしてあげる!




* * *



「なぎさ、ゴメンね…」

涙目なあたしに、ほのかが労わる様に声をかけてくれた。
確かにチョット泣いてたけど、でも実はそんなに悔しく無かったんだよ。
変わりにココロにあったのは別の思い。


「ほのか…もう一勝負…ね?」

その思いを満たす為の言葉に、ほのかがお婆ちゃんを呼びに行こうと立ち上がる。
でもね―――

「待ってほのか…」

その必要はないんだよ。読み手はもう要らないの。
だって次はカルタ勝負じゃないから。
カルタなんかはもう何の役にも立た無いから……


振り返るほのかに近づいて、そっと頬に手を当てる。

フフッ、そんな不思議そうな顔しないで…。今度はあたしがほのかをコテンパンにする番。
タップリと泣かせてあげるね。

悲しみじゃなくて、喜びの涙だけど…



「…始めようか、ほのか」










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