そのウソホント





「ほのかちゃん、良かったら一緒に帰らない?」
「ゴメンなさい。なぎさと約束してるから…」
そう言いながら去って行くほのかの後姿に木俣がハァと息を吐く。

―――やっぱ脈無しなのかな…。そう言えば去年の遊園地でだってまるで無関心だったし、
冬のスキー旅行でだってサクッとスルーされたよな…

「ハァ〜」
もう一度大きくため息をつく。とその時
「どうしたんだ、木俣?ため息なんかついちゃって…」
現れたのは藤村省吾――通称『藤P』ほのかの幼馴染の完璧超人。
「藤Pか…何でもない、お前にゃ分かんねーよ」
「親友の俺にも言えない事なのか?」
「まぁそう言う事だな…」
―――お前には一生縁の無い話だよ
心の中で拗ねる木俣。だがその時、彼の頭にある考えが閃いた。

「…ところでさ、お前好きな女子とか居ないの?」
「好きな女子?考えたことも無かったな…。今はサッカーに夢中だからさ」
―――もったいないヤツだな…
そんな藤Pの答えに呆れながらも木俣が話を続ける。
「ほのかちゃんなんかどうなんだ?お前ら仲良いだろ?」
「バカ言うな!ほのかはただの幼馴染だよ!」
「ハハ、冗談だよ!…でも最近、ほのかちゃん好きな人が出来たらしいぜ?」

もちろん今考えたウソ。だけどそのウソに藤Pはあっさりと引っかかった。
「本当か!?相手は誰なんだ?」
「いやー俺も噂に聞いた程度だからな…。でも、気になるなら一度確かめてみたらどうだ?」
「ああ、そうしてみるよ!」



* * *



―――翌日

「なあほのか!?」
「藤村君!?突然どうしたの?」
登校中のほのかを、前触れも無く現れた藤Pが呼び止める。
そして「ちょっと来てくれないか?」と強引に物陰へと手を引っ張って行く。

「ほのか、好きな人が出来たって聞いたんだけど、本当なのか?」
「いきなり何言い出すの!?」
「ちょっと噂を聞いたんだよ。ほのかに好きな人が出来たって言う噂を…」
イキナリな藤Pの言葉に、さすがのほのかも驚きを隠せない。
だがそれも一瞬、すぐに冷静さを取り戻し、静かに答えを口にした。

「本当よ…」
「だ、誰なんだ?相手はどんなヤツなんだ!?」
「そんなに慌てちゃって藤村君らしく無いよ?」
「当たり前だろ!ほのかは俺の妹みたいなもんなんだから!」
いつに無く必死な藤P。そんな彼の様子にほのかがクスクスと笑いを零す。
「大丈夫よ、凄い素敵なヒトだから。でもね―――」
そしてチョット悪戯な微笑みを向け
「そう言う事を聞くのは野暮ってモンよ!ふ・じ・ぴー!」


「―――て訳でさ、誰だかは教えてくれなかったけどお前の言った通りだったよ。…ん?どうした木俣?」
「いや…ナンでも無い…」
ウソから出たマコトに木俣がガックリと肩を落とす。

―――だよな。ほのかちゃんだって女の子だもんな…あーチクショウ!
それにしても、あんな可愛い子に惚れられるってどんなヤツなんだよ!?



「ほのか、一緒に帰ろう!?」
「なぎさ!うん!」








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